『新座で感じた自然のぬくもり』

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部観光デザイン学科
櫻庭 莉奈

 

 新座市にある跡見学園女子大学のキャンパスには、四季折々の自然が豊かに広がっている。その中でも、私が最も魅力的だと感じているのが春の桜の風景である。大学に入学したばかりの春、私が初めてこのキャンパスの桜を見た日、心がふわっと軽くなるような幸せな気持ちに包まれたことを、今でもはっきりと覚えている。
 そんなある日、大学の敷地内にある立派な桜の木の下で、一組の親子が目にとまった。小学校への入学を控えていると思われる小さな女の子が、ピカピカのキラキラしたランドセルを背負って立っていた。そして、その姿をお母さんが笑顔で写真におさめていたのだ。まだ肌寒さの残る春の風の中で、柔らかな日差しと桜の花びらに包まれながら、その親子はまるで春の絵本の1ページのように見えた。まったく面識のない親子だったが、その光景を見て自然と笑みがこぼれ「この場所に来られてよかった」と心から思った。その日、キャンパスにはほかにも多くの人が訪れていた。大学関係者だけでなく、近隣に住む家族連れやカメラを持った方々が、桜の美しさに引き寄せられるように集まっていた。花見を楽しんでいる人、真剣な表情でシャッターを切っている人、ただ桜をぼんやりと眺めている人。いろいろな人たちが、桜を見て時間を過ごしていた。私自身、花の中で一番好きなのが桜である。儚く、短く、けれど毎年必ず咲いてくれるその姿には何とも言えない希望のようなものを感じる。また、春に生まれたというのもあり、小さな頃から縁を感じている。そんな桜が咲き誇る大学に通っていることが、私にとっては日常の中の特別であり、小さな誇りでもある。
 登校時、バスの中から見る新座の自然もまた心を穏やかにしてくれる。春には緑が芽吹き、優しい日差しが景色をやわらかく照らしてくれる。バスの窓からぼんやりと眺めるその風景は、忙しい毎日の中にある、ほんの短い癒しの時間だ。新座市は、東京のすぐそばにありながら、自然がとても身近にあるまちだと思う。大学周辺だけでなく、駅からキャンパスへ向かう途中の道にも木々が多く、季節の移り変わりを肌で感じられる。桜の時期だけでなく、夏の深緑も、どれもが心に残る風景をつくり出してくれる。そんな環境の中で学生生活を送れることは、とてもありがたいことであり、学びだけでなく感性も豊かにしてくれていると感じる。特に桜の季節には、新しい生活の始まりを告げるように、自然がやさしく背中を押してくれる。入学や進級という人生の節目に、こうして桜とともに過ごせる時間があるというのは、きっと多くの人の記憶に残るはずだ。あの日見た小さな女の子も、きっと春になるたびにあのときの桜を思い出すのではないだろうか。
 新座市は、派手さはないかもしれないが、日常の中にそっと寄り添ってくれるような自然がある。その自然は見る人の心を癒し、あたたかく包み込んでくれる。私にとって桜は単なる季節の花ではなく、これからの毎年同じ季節に立ち返るための「心の目印」になったように思う。春の桜は、ただ「きれい」と感じるだけの存在ではない。見上げれば、無数の花びらが青空の下で風に揺れていて、上を向くきっかけとなる。入学当初の不安や緊張、これから始まる新生活への期待と戸惑い。そんな気持ちを抱えながら通った春の日、桜の木の下でふと立ち止まり、何も考えずに花を見つめていたあの時間が、私にとってどれほど大切だったか。今振り返ってみると、自然には人の心を静かに整えてくれる力があると実感する。きっとこれから春が来るたび、この桜を思い出し、そしてまたあの場所に行くだろう。ぜひ多くの人に、新座市の、そして跡見学園女子大学の春を体験してもらいたい。桜の下でふと足を止めたその瞬間に、自分でも気づかないような穏やかな感情が芽生えるかもれない。そしてそれは、日常の中でふと立ち止まり自分自身を見つめ直す大切な時間になるだろう。