『新座を離れて思うこと』

立教大学 観光学部交流文化学科 4年
菅野 陽菜

 

 私が新座を出てから、もう1年が経つ。私が新座で過ごした日々は、今もときどき思い出すかけがえのない時間だった。
 私にとって新座は、2020年度の感染症大流行時代を実家で過ごし、2021年から念願の一人暮らしをスタートしたはじめての街だった。近所のスーパーも、公園も、カフェも、すべてが新鮮で、なれない料理や家事と奮闘しながら生活していた。特に思い出すのは、アルバイトの時間である。自動車免許を取得してから漠然とバイクにあこがれを持っていた私は、ピザのデリバリーとお弁当屋の配達のバイトを掛け持ちすることにした。原付に乗るのは初めてだったが、一度乗り方がわかるとその後はとにかく楽しいという気持ちで満たされた。原付に乗って、朝はお弁当、夜はピザを配達し続けたことで私は地域住民にも負けないくらい新座や志木、朝霞エリアの地理に詳しくなった。私が原付であっちこっち走り回るとき、最も楽しかったのは見たことのない植物や美しい自然を見つけることだった。バイクに乗ってたくさんの自然に触れた中でも、もっとも私が気に入っている場所は 「栄緑道」と言われる桜の名所だ。
 「栄緑道」は新座市新塚に位置し、朝霞市と東京都練馬区に隣接しているちょうど境目のあたりにある。栄緑道にはたくさんの桜が植えられており、特に夜桜の名所として知られている。桜の季節には夜11時までぼんぼりによるライトアップもあるため、多くの人々が桜を見に訪れる場所だ。桜の見ごろは3月末~4月下旬で、この期間には「桜まつり」 が終日行われる。私はバイクに乗ってこの桜が咲き誇るのを見るのが大好きだった。ただ、桜は満開だけが素晴らしいのではないと声を大にして言いたい。雨や風で桜が散って、道路一面が桃色の絨毯になるのも美しいし、緑が混じり始める葉桜も言葉には表せない美しさなのである。さらに、栄緑道の周りの地域は一帯が自然にあふれる土地で、周辺の「妙音沢」では新品種の桜が発見されているらしい。これはぜひ見てみたいと思い、次の桜のシーズンを待ち焦がれる今日この頃である。さらに、隣接する「新座墓園」では夏にはキツネノカミソリが群生し、オレンジ色の景色が広がる埼玉屈指の生息地と言われているキツネノカミソリとはヒガンバナ科の植物で、真っ赤な彼岸花も近くで見ることができる。
 「市場坂キツネカミソリの里」では、春にはカワヅザクラが楽しめる。東に隣接する「新座緑道」では春は桜やつつじ、夏は新緑、秋は紅葉と季節によってさまざまな種類の植物がみられる。ここは地元の人に人気の散歩コースでもあり、しっかり整備されているため安心して散歩に興じることができるのだ。このように、新座には色鮮やかな自然に触れるとこができる場所がたくさんある。
 現在は家庭の事情で新座を離れ別の土地で暮らしている私だが、今でもあの美しく穏やかな新座の街にまた戻れたら、とひそかに考えるときがある。都心に近く便利な街である一方、自然豊かでのびのびと暮らせる新座は、今でも私の大好きな街だ。